「手刻み」工法について

墨付け・手刻み

墨付け・手刻み

皆さんは同じ大きさの材木でも、特徴に違いがあることは知っていますか?
皆さんが目にする四角く製材された材木は、一見すると同じように見えますが、実は一本一本違うのです。

それは、たんに節(ふし)と呼ばれる部分の有無やその数の違いだけではありません。
節以外にも材木には表や裏などがあり、それぞれどちらに反りやすいかなどの「癖」があるのです。

墨付け・手刻み

墨付け

手刻み

柏木工務店の職人はその一本一本の材木を、どの部分どのような向きで使ったらよいか、木と対話をしながら見極めて加工するための線を引いていきます。
これを墨付けといいます。

そして、墨付けの終わった材木を、ひとつひとつ心を込め「ノミ」や「カンナ」等の道具により人の手で加工していきます。
これを「手刻み(手きざみ)」といいます。

この「手刻み(手きざみ)」では、0.5mmほどの線を場所によって半分残したり、残さなかったり、はたまた線を残したり等という本当に繊細なところまで神経を研ぎ澄ませながら作業をしています。
これは、現在の構造計算などでは数値として出てきませんが、このほんのわずかな違いが接続部分の強度に大きく影響してくるのです。

しっかり大きな梁を支える仕組み

手刻み

「金輪継ぎ」

手刻みでないと出来ない金輪継ぎ

さらに、プレカットとの違いの一つとして、使用される継ぎ手や仕口の種類があげられます。
手きざみでは、プレカットで使われない複雑な継ぎ手や仕口も使われます。柏木工務店が手刻みの時に使う代表的な継ぎ手に「金輪継ぎ」などがあります。これは「カマ継ぎ」や「アリ継ぎ」などと呼ばれる継ぎ手に比べて圧倒的に耐力の強いしっかりとした継ぎ手ですが、プレカットでは作ることが出来ません。

継ぎ手や仕口の種類だけでなく、同じ継ぎ手や仕口であっても、手刻みでは「その場所ごとにあったサイズの継ぎ手や仕口」とすることでよりしっかりとした骨組みを作ることができます。

木材の骨組みの組み方を工夫することで強度を確保していく

他にも、木材の骨組みの組み方を工夫することで強度を確保していくこともしています。
これらは、古くからある寺社仏閣などで使われている工法でもあり、本来金物を使わなくてもしっかりと建物を支えられるものであり、その信頼性は古くからあるお寺や神社などの建物をみていただければと思います。

金物

当社では、この伝統的な工法による手刻みに併せて金物を使用しています。

ただし、必要以上の余分な金物は使いません。なぜなら、金物をつけるためには木に穴を空けなければならないため、一ヶ所に多くの金物をつけるとそれだけ「木」自体が弱くなってしますためです。

ここまで、手刻みのメリットの部分を説明させてきてもらいました。
でも、手刻みにもデメリットはあります。以下にプレカットと比較した手刻みのデメリットをあげてみます。

1.時間がかかる

新築一件分の材料を1本1本墨付けをして、手作業で加工していくため、どうしても工事期間が長くなってしまいます。

2.プレカットに比べて費用がかかる

機械でなく手作業なので、材料の加工に時間がかかりそのぶん、費用もあがってしまいます。どれくらいの費用の違いになるかは物件により違ってきますし、差額が高いかどうかは人それぞれ違いますので、詳しくは実際にお打ち合わせの時にご確認ください。

3.加工精度が大工さんの力量により左右される

手作業なので当然、加工する大工さんの技術力に影響される部分が大きくなりますが、「日本伝統建築記技術保存会会員」に登録している柏木工務店では、たしかな経験と技術力をもつ社長の厳しい指導のもと全員が技術を磨いています。

最後に…

「伝統工法による手刻み」で作る家は、決して手の届かないほど高価なものではありません。
プレカットという機械加工が登場するまでは、町場の大工さんはみんな当たり前のように「手刻み」をして家を建てていたのです。

家を建てるのは、一生に一度の人生における大きなイベントです。これから先、ずっと住む家だからこそ多少の時間と費用がかかっても、よい家に住みたいと思いませんか?

柏木工務店では、プレカットも手刻みもどちらの工法でも新築一戸建て住宅を請け負っています。より詳しく説明をお聞きになりたい方は、遠慮無く直接お問い合わせください。